東京都・葛飾区。

フーテンの寅さんでおなじみ「男はつらいよ」シリーズの柴又帝釈天。
こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)の舞台・亀有。
「下町の酒都」と呼ばれる立石にある高橋陽一氏の母校「東京都立南葛飾高校(通称・南葛)」は、その代表作品「キャプテン翼」の主人公・大空翼君の所属する学校名に。
(氏の出身地・四つ木には翼君はじめメインキャラのブロンズ像が設置されています。)

上記以外にも、荒川・中川・江戸川が流れる肥沃なデルタ区域を舞台にした多くの作品・豊かな自然にも恵まれ、その屋台骨を支える義理と温かな下町人情は21世紀の現在もバリバリ健在。

人口約44万人。
夕日に映える中川が、なぜか昭和の香りを運んでくる気がする東京の下町。
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(柴又駅前には寅さんが・・区内にはゆかり或る作品のブロンド像が多く鎮座している)
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柴又帝釈天参道商店街。その風格と貫禄は筆舌に尽くしがたし!!)

今回はその葛飾区を代表する観光エリアでもあり、「男はつらいよ」シリーズの舞台でもある柴又にある駄菓子屋物語。

ファンシーなギフトショップとしてOPENしたのが、今から約半世紀前の1973年。

徐々に駄菓子・アイスなどを置くようになり、駄菓子屋へとクラスチェンジしていったとの事です。

昔から柴又の子供達に愛され続けるその店の名前は「ともだち」。

身震いするくらい素敵な名前ですよね!!
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(くずし字で書かれた『ともだち』の看板。とても素晴らしい)

あ〜。
何たる失敗‥
看板に書かれたくずし字の『ともだち』の素晴らしさに今更気づきましたよ‥

誰か名だたる人の筆跡なのではないでしょうかね?

おばちゃんに色々と話を伺っていながら、大事な事を聞きそびれた事が悔やまれます。
今度伺った際は必ずや聞いてみよう!と思います。
気付かれた皆様、ごめんなさい。

ではでは、早速店内に入ってみましょう!
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(キレイな外観・内装と、駄菓子の『ごちゃごちゃ』感がミックスされた素敵過ぎる店内)
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(ギフトショップ時代の名残が残る店内。色々と探してみて!)

キレイな店内、壁際に沿ってきれいに陳列される駄菓子・駄玩具類。

店を清潔に保ち、子供達の選びやすい様に配置された品々からみえるおばちゃんの『見えない努力』にしきりに感心しながら、店の歴史・柴又周辺の事、子供達の事などを伺うと、「え〜。キレイどころかごちゃごちゃしてるだけでしょう(笑)」と謙遜されつつも、色々と教えてくださいました。

かつての柴又周辺は、おばちゃんの知る限りだけでも5〜6軒駄菓子屋があり、おばちゃん自身もギフトショップ時代に近所の駄菓子屋で「ふ菓子を袋ごと(いわゆる大人買い)子供に買ってきてもらった(笑)」事もある程に身近な存在でした。

しかし時代の流れは、ここ下町・柴又にも平等に訪れ、今や柴又地域には『ともだち』と駅前に1軒しか残っておらず、周辺にも数えるばかりとなってしまいました‥
悲しいですよね。

「子供達にとって、小さい頃の思い出が無くなっちゃうのは、悲しいしかわいそうでしょ…だから、いつまでできるかわからないけど、ずっと頑張るつもり。」

その様なお気持ちで店を続けるおばちゃんの元に、柴又の子供達が集まってくるのは、当たり前田のクラッカーなのかもしれませんね。
中には「おばちゃんの跡継ぐし、手伝うから続けてね!」と自ら2代目を名乗り出てくる子供もいるのだとか。う〜ん、心強い!
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(ジャック製菓さんの当て物系が沢山!!やったるで〜!)
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(チコちゃん・カービィ・アイドル系も主軸を務めるシール類。)

「なに?おばちゃん!!僕の好きだったジュース覚えててくれたの?スゴイ記憶力(笑)」

1月のと或る休みの日、成人式の日の事。
店を訪れた数人のスーツ姿でバリっと決めた若人。
その中の一人、小学生の頃によく来ていた子が立派な姿になって挨拶に来てくれた際の事を、今でも忘れられないとおばちゃんは言います。

「ネクタイもきちんとしててね。『おばちゃん、本当にありがとうございました』ってお辞儀してくれて・・。昔の面影のまま、二人のお子さんのママになった子も来てくれるし・・・。「元気~」って言われて笑顔で答えてるけど、実際心の中は涙ものよ(笑)」

そうした子供達一人一人とのエピソードそのものが、店を続けていく中で子供達からもらった『宝物』なのでしょうね。
体が元気なうちはいつまでも続けたいと言われるお気持ちが、少しわかる気がしました。
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(夏場は重宝もの。凍らせたあんずボー・ゼリーに、キンキンに冷えたジュースもあるで)

こんにちは~
じゃね~
また明日ね~

来る子、残る子、帰る子で、挨拶飛び交う『ともだち』店内。

ここに来れば、たとえ小学校や学年が違っても、共通の経験を通じ、皆が文字通り『友達』になれるのでしょう・・・
おばちゃんのお孫さんも来ていたし、一人一人が思い出という名のエピソードを残していく場所。
本当にここは柴又の文字通り学び舎と言っても過言ではないでしょう。

「また遊びに来てください。今度はお子さん連れて。コロナに負けず頑張って営業してますから!!」


男というものつらいもの、顔で笑って腹で泣く。腹で泣く・・・
『ともだち』を後に駅へと向かう道すがら、夕焼け小焼けの空の下、柴又の街を歩いているとなぜか「おとこはつらいよ」のメロディが脳内を駆け巡るのでした・・・

コロナ終息後。
次は柴又『ともだち』へ。
皆さんも柴又小旅行へ出かけられてみてはいかがでしょうか。

『ともだち』アクセス
東京都葛飾区柴又6-12-16
予定がない限り年中無休