千葉県市川市。

葛飾八幡宮・真間山弘法寺などの古刹・名刹が市域に多く点在、近世より行徳の塩田は大都市・江戸の胃袋を満たし、今では中山で馬好きの競争心を満たす。
江戸川をはさんで即東京にアクセス可能な恵まれた立地は、交通渋滞とともに多くの若年層を引き寄せ(人口約47万。県下第4位)、漢字で書けば上から読んでも下から読んでも「市川市」という山本山な街。
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(荘厳な階段と子供用自転車のアンバランスな関係。真間山・弘法寺)

今回は、その市川市・真間にある弘法寺の門前「大門通り商店会」のある駄菓子屋「宮崎商店」をご紹介します。
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 (風格ある佇まいしてるでしょ!入りたくなるね)

もともとは隣の松戸市で乾物屋をしていたと言う「宮崎商店」。
1974年(昭和49年)に現在の場所に移り(新宿中村屋のチェーン店としてスタート)、今の駄菓子類と食料品を扱う形態になっていったとの事です。
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(多くの駄菓子が置かれる店内。種類も多岐にわたる)
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 (駄菓子だけではないYO。ジュースに生活用品もあるYO)

小中学生がメインの客層ですが、「宮崎商店」には近隣住人ではない大人のお客さんが「或る物」を求めて訪れる事も多いのだとか。

その或る物の正体はこれ。
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 (たくさんのカードが納められた棚を見よ!交換可能。)

「遊戯王」のカードをはじめ、ものすごい量のカードが棚に収められています。
何百、何千もあるでしょうか?
最新バージョンはもちろんの事、少し古いカード類も取り揃えています。う~ん、すごい!

筆者が訪れた日、店内では中学生位の少年が数名「我・掘り出し物ヲ発掘セン」と言わんばかりにカードをものすごい勢いで物色していました。
「目にも止まらぬ早業で、投げる手裏剣ストライク」状態でカードをめくる少年達の姿(ある意味アウトでござるが)に、感心しました。

何でもいい。
熱中できる「何か」を見つける欲しいものです。義務教育の間に。
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(徳用のラーメンは人気商品。お湯入れて食べて小腹満たして!)

なぜここまでカードが充実しているのか?おばちゃんに聞いてみました。
「子供達がダブって持て余していたカードを、もったいないし格安で買い戻したり交換したりしてたら自然と増えていった。今や相当なコレクター(笑)」との事。
笑いの中に優しさあふれた良いエピソードですね。
 
一昔前はビー玉でもメンコでも子供同士の物々交換、というより勝ったほうが総取りできるという弱肉強食の死闘が全国の駄菓子屋周辺や空き地などで繰り広げられていました。

それはそれで、子供ながらに競争原理が働き、「世の中甘くはない」と身をもって学ぶことができる良い経験だったのでしょうが、今は鬼過保護な平成の世。
平和裏にカード交換システムは時代にマッチしているといえるでしょう。
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(駄玩具もたっぷり。アイスも超冷えてるぜYO)

カード遊びに興じる子供達を横目に、おばちゃんから松戸にいた頃の話や貴重な戦争体験まで、色々と教えてもらいました。(東京大空襲の際、「ゴー」という音と共にキレイに編隊を組みながら上空を行くB-29と、真っ赤に燃えさかる帝都・東京を呆然と千葉から見ていた話など、強烈でしたね・・・)

「消費税が8%→10%に上がろうと、体が元気なうちは店を頑張る。ここまでやってきたからもう意地かもしれないね」と笑いながら話すその姿は、戦前・戦中を生き抜いた芯の強さと優しさが滲みでていました。

おばちゃん、ありがとうございます。また戦争の話やマニアックなカード話を聞かせてくださいね!

「宮崎商店」アクセス
京成本線 「国府台」駅・「市川真間」駅 徒歩10分
総武本線 「市川」駅 徒歩15分
千葉県市川市真間4-5-5