ビートたけし(北野武)さんの出身地としてもおなじみ、かつては牧歌的な下町風景が広がっていた東京都足立区。

江戸期の五街道である奥州・日光道中の『千住宿』として栄えた宿場町は、今や「首都圏で住みたい街ランキング」上位常連にして、鉄道5路線が駆け抜ける一大ターミナル『北千住』駅へとクラスチェンジ。

舎人・六町・竹ノ塚‥

いつでも参拝客でにぎわう関東厄除け3大師の一つ『西新井大師』や、縁日などで有名な元祖超B級ソウルフード『文化フライ』、綾瀬川・荒川・隅田川に洗われた義理人情と歴史・文化が見事に溶け込む人口約69万人。

キャンディーズのスーちゃん(故・田中好子さん)、ANZEN漫才(みやぞんさん・あらぽんさん共に)、いぶし銀・布施博さん、売れっ子女優波留さんなど、各分野で活躍する多くのタレント達を輩出続ける下町。
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(足立区のほぼ中央に位置する『関原通り商店街』。下町の宝は駄菓子屋。その物語)

今回紹介する駄菓子屋『浅見菓子店※過去記事以下・浅見屋』は、戦後すぐに創業、現店主は3代目と言う由緒あるお店です。

筆者は2013年に初訪問。
以来、時折ですが顔を出しては話を伺い、その雰囲気や姉妹二人で切り盛りする独特のスタイルに魅了されてきたわけです。

『浅見屋』
『あ〜みさん』
『おばちゃんの家』

近所の子供達は、親しみと愛着を込めて自分達の呼びやすいあだ名で呼んでおりまして。
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親子3代で通っているという知人の話。
「子供の頃、昼は『あ〜みさん』で駄菓子を買って、夜は隣の隣の隣(笑)のお好み焼き屋さんで皆で熱々の鉄板を囲んで『もんじゃ』を食べるのが夏休みの最高の1日でした!」との事。


そんな『浅見屋』が令和3年、装いを新たにし、『新章』がスタートしましたので御報告いたしますね!
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(初代〜3代目までが守った店舗。多くの関原っ子と思い出と共に‥2013年撮影。)

2019年末より続く、いや始まってしまったといった方が良いかもしれませんね‥

コロナ禍の東京、ニューノーマルの生活‥

と或る読者の方から届いた「『浅見屋』が取り壊しされてなくなってしまいました‥」と言う涙のメッセージに愕然とする筆者。

2020年4月、ちょうど初めての緊急事態宣言が出た位の事でした‥

その辺りを境に、全国よりこの『コロナ禍での駄菓子屋廃業』の報を聞く事が増えました‥

コロナ+御体の調子+世の流れに対する先行き不安‥など。

複合的な要因の結果とはいえ、コロナ禍の猛威は、例え発症してないとは言え、多くの駄菓子屋を、多くの商売人を、いやいや、世界中の多くの『人』から日々の商い(商売)そのものを奪い取ってしまいました‥
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無念だったろうな‥‥

そうした方々のお気持ちや考えを想像するに、例えそれが「年も年だし、ここらが潮時‥」と前向きな撤退だったにせよ、子供達の為、そして自分達の為に駄菓子屋を続けてこられた素晴らしき人達の思いを鑑みると、筆者は胸を引き裂かれる思いでいっぱいでした‥
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(土間とのコントラストが美しい店内。2013年撮影。)

人々の動きが少し活発化した2020年のGO TO〜時代、気づけばフラフラと「浅見屋」(跡地)へと足が向っておりましてね‥

その場所で・・・
取り壊され、面影がすべて無くなってしまった、かつて駄菓子屋だった場所の前で、呆然と立ち尽くす筆者に、『子供の頃から来てた人?』と、声を掛けてくれた初老の男性。

建て直して、営業再開するってさ。大丈夫。また駄菓子屋やるって!

近くに住んでる方でしょうかね?

続けざまにそう呟き、ニコッと笑ったその男性の言葉に、一気に感情が高ぶっていくのが自分でもわかるほどでした!

マジか〜!
また駄菓子屋やるのか〜!

あまりの衝撃に、そこそこ大きな声で独り言を言っていましたよ〜(笑)

でもそれくらい嬉しかったなぁ〜!!

新生『浅見屋』に訪れたのはそれから数ヶ月後のこと。

真新しく、クリームがかったホワイト基調の素敵な店の中、姉妹お二人の姿を認めた時・・・
今は亡き父がそうだった様に、四十路を過ぎると涙腺が少し弱まって来る様で‥

呆然と立ち尽くした前回とは違い、喜ばしいのに、少し泣きそうになってしましましたが、それは年のせいだよね?親父?(笑)

ではでは。
かつての店舗を頭に思い巡らせながら、一気に現代の姿をズームイン!!
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(現代建築ここに極まれり!!クリーム色のオシャレな外装から中の駄菓子がチラリ!)

「店の写真はオッケー👍。でも私たちの事は写さないでね(笑)」

子供達を中心に日々多くの人と話し、よく笑うが故(だと筆者は思っています)に実年齢より若く見える方が非常に多いという、いわゆる『駄菓子屋のおばちゃんあるある』。

『浅見屋』の姉妹もまさにその典型です。

8年前に初めて訪れた際も、上記と同じ事を言われた事を思い出し、外見や軽快なトークから『お二人共、初めてお会いした時と全然変わらないですね〜』と言った所、「そんなこと無い、年とったわよ。もう体ボロボロ(笑)」と、ソフトな自虐ネタを含む見事な切り返しは東京下町流。

ファンが多いのも頷けますよね〜!
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(かつてと同じアングルで撮影。陳列の綺麗さは旧店舗と同様。)

戦後すぐに開業した『浅見屋』の歴史は相当に長く、姉妹は三代目にあたります。

店主も三代なら、お客さんも三代に渡り店の常連という家族・・と言うより、もはや妥当な言い方として、一族ですね(笑)

そうしたヘビーユーザーの一族が、関原周辺にはかなりいらっしゃいます。

この事は特筆に値します!

お孫さんを連れたジイジ・バアバの中にも、御自身も実は初代・2代目時代の常連で、ここで笑いあり・涙ありの大切な思い出を心に刻んできた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

あっ・・・
先日、筆者に嬉しそうな顔をしながら新居で新たなる門出の話をしてくれた初老の男性も、もしかしたら、そうだったんじゃないかな??
いや、絶対そうでしょ(笑)。常連だった方に違いない!

そりゃ、うれしいでしょうね。
筆者がその立場だったとしたら、めちゃくちゃうれしいですし!

いや~。
下町って、やっぱり最高ですね~!
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(懐かしのガラス瓶である『ねこびん』。何ら違和感なく子供達をお出迎え!)

Adoさんの『うっせぇわ』を口ずさみながら入って来た小さなお子さんWithママさん母娘。

「うっせぇ。うっせぇ。うっせぇわ。ってね(笑)。今流行ってるね」

その少し過激な歌詞を子供に合わせて口ずさみ、笑って向かい入れるスタイルも下町流な神対応(笑)。
さすがです!

そんな光景を懐かしくも微笑ましく見ながら、ミルクせんべいが入っている瓶に気づき目が『キラリ』と光っていましたよ。

これはガラス製の『ねこびん』じゃないですか!と筆者。

「確かこの『ねこびん』は、祖母が浅草で購入したものです。今は中々見る機会ってないですよね。保管が大変だし、何より重いからね(笑)」

そうなんです。
重いんです。
保管が大変なんです。

それを現役で使い続けるには、適度なメンテナンスと道具に対する愛情が必要だってこと!ですよ、みなさん!
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(壁に駄玩具。棚下にストックラード。限られたスペースを見事に活用)

壁と棚下を有効活用し、スペースを確保するために考えられた店内レイアウト。

初代よりの愛用品、ガラス製の『ねこびん』をきれいな状態で保管・・・からの利用。

ニューノーマルな店舗運営に必須事項な『換気』対策として、両窓とドアを全開放して営業するなど。

古きと新しきを組み合わせた見事な『新旧折衷スタイル』も、長年にわたり『駄菓子屋のおばちゃん』として、各時代の関原周辺の子供達と向き合ってきた親子3代が紡ぎだした歴史の帰結と言っても過言ではありませんよ。
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(春夏秋冬、ずっとアイスを冷やし続けるニヒルな働き者『アイスボックス』に敬礼!)
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(マスクをはじめ、かわいいハンドメードの品々も。なんとMade from『浅見屋』でございます!)

「基本的な定休は日曜で、仕入れや用事が無い日は毎日店を開けるようにしてます。でもね。子供達が来てくれる放課後以外は暇で暇で(笑)。」

その暇な・・もとい隙間時間をうまく使って、おばちゃんプレゼンツのハンドメード小物がとてつもなくイカしてる件!

要チェックやで〜。

さらに、息子のは即決できるけど娘のはよく分からない‥という世のお父さん方必見!
「って、そりゃあんた(筆者)の事やろ〜」と言う天の声は華麗にスルー奨励にて(笑)

マスク選びにまごついていた筆者に対しても、「4歳の女のコ用のマスクなら、こっちの方がかわいいかも?」と的確なアドバイスをくださいましたYO

さてさて皆さん、お土産にどうでしょうかね!

「厄介なコロナ禍、みんなが大変な思いで過ごしていますが‥。少しでも子供達が楽しめれば!と思って店を開けてます。また遊びに来てくださいね。」

換気対策もバッチリ!とは言え、密にならぬ様、そこはみんなで協力だ〜!

地元にお住まいの方々にはすでにを伝わっているとは思いますが、独立や引っ越しなどで足立区・関原を離れてしまったかつての常連さん方に、『浅見屋』営業再開が伝われば幸いでございます。


コロナ禍で続く制約と我慢。
まだまだ先は見えませんが、ここに『浅見屋』営業再開という素晴らしくも嬉しいGood Newsを書く事が出来て感無量でございます。

『浅見屋』の皆々様、関原周辺の新旧常連の方々に謝意を送ることをもって、結びにかえさせて頂きます。

『浅見菓子店』アクセス
東京都足立区関原1-21-23
定休日 日曜・祝日
※コロナ禍の為、営業日は要確認