鳴くよ(794)ウグイス平安京の時代より、洗練され深みを増した文化と四季の移ろい美しき街並み・自然とが、世界中を魅了し続ける稀有な都を世人曰く。
千年の都・京都と…

今や人口約148万を誇る政令指定都市である京都市11区のうちの1区・下京区。

やんごとなき御方(帝)の御所として数多の栄枯盛衰を見つめ続けた京都御所を中心に、全国1万2千社の天満宮・天神社の総本社北野天満宮や、陰陽師・安倍晴明公を祀った晴明神社など歴史的な遺産の数々と、西陣織に代表される伝統工芸・町家文化が令和の今も見事に融合。

人口約8万3千、名優佐々木蔵之介さんや伊達公子さんなどナイスショットな人材を輩出続ける街。
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(かつて帝がおわした京都御所。風格・威厳のすごさをビシビシ感じる

応仁の乱で、西軍総大将の山名宗全が本陣を置いたことがその名の由来。
高級絹織物「西陣織」発祥の地としても有名な『西陣』は、皆様も聞いたことがあると思います。

その下京区・西陣エリアのリアル町家の中に、靴を脱いでから「おこしやす〜」スタイルの風流な駄菓子屋があると聞いて、伺ってまいりました。
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(パーぺキなる京町家。ここが駄菓子屋だというのか??)

「あの辺はあまり観光地化されてないからね。自転車でサイクリングとか、ゆっくり何も考えずに歩き回るとか、かなりお勧めだよ!」

二条城~京都御所のやや北西にあたる西陣エリアについて、京都好きの知人が言っていた事を思い出し、京都市営地下鉄烏丸線「丸太町駅」を降り、その雰囲気を味わいながら歩く事、約10分。

見えてきた『北原商店』の、あまりに見事すぎる京風町屋的佇まいに「ここって、本当に駄菓子屋なの?」と思いました。
もちろん、とても良い意味でですよ!

しかし。
家・・・もとい、店の前に並ぶ子供達の自転車を見て「間違いない。駄菓子屋や」と確信(笑)

喜び勇んで店の中へ。
入口は真ん中通路を奥へ左手にございます。
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(通路を進むと玄関に到着!おお「仮面ライダー1号2号V3がお出迎え!)
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(どこを見ても完全なる玄関。友達や親戚の家に入るような錯覚に・・)

「こんにちは〜」

玄関で靴を脱ぐと、自然と大きな声で挨拶したくなるのは日本人のDNAがなせる業なのでしょうか?

中に入ると、居間で寛ぐ数人の子供達と、昭和後期に少年時代を送った筆者より幾分若い女性の姿が目に入りました。

「こんにちは〜」と、ニコッと笑いながら挨拶してくれたこの女性こそ、2017年に『北原商店』を立ち上げた、クリエイティブな店主その人!

東京の超メジャーな玩具メーカー(ここは筆者と馴染み深し。後述します)を退職。

その後、京都へと移り住み、平日はアミューズメント施設エンタメコンテンツの開発を中心としたデジタル最先端スタイルで、週末は駄菓子屋『北原商店』の店主として、新旧を、いわばアナログとデジタルの遊び場をクリエイトしているゴイスーな人なんですYO
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(木洩れ日が映える店内。ちゃぶ台・本棚・テレビもあるぞなもし。)
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(ここは君達の家か??と、思わず笑みが溢れる寛ぎっぷり。)

い草の匂いがとてもやわらかい‥

inマンガ・雑誌。
onフィギュア・諸々品!これぞ日本の本棚なり。

畳に座ってplayingゲームのテレビの配置は見事なりし昭和スタイル。

真ん中には、区内における京都御所がごとく存在感を放ち鎮座するThe・ちゃぶ台。

「どこからどう見ても家ですね‥」

入ってきてまだ1分なのに、すでに友達(親戚)の家に遊びに来ている感覚がしてきた筆者。


「はい。家です(笑)。週末は『北原商店』としてこうして開放してますけど、夜は普通にここ、居間です。(笑)」

究極の職住合致スタイル。

心地良さとセンスの良さが同居する店内は、昭和を意識しているだけでは辿り着けない『境地』の様な物を感じました。

それにしても、ゲームに興じる子供達‥
あんさんら、寛ぎすぎやろ〜(笑)
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(壁側。たくさんの駄菓子・駄玩具達の中に‥マジンガーZもいるやん!!)
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(家具や小物入れも。そのセンスが素晴らしい。魅入ってしまった)

「選ぶ。買う。食べる。話す。遊ぶ。色々な楽しみ方ができる駄菓子屋って、エンターテインメントとしてもスゴイ場所だと思うんですよね。」

子供達が我が家にいるかのごとく、ちゃぶ台でラーメンを食べ、「おっしゃぁ!!」と言いながらゲームに興じる姿は、令和の世とは思えない、古き良きバブル前の遊び場そのものです。
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(部屋の端っこスペースが駄菓子置き場。見事なレイアウト。)

千年の歴史ある京都とは違い、文明開化の音がする港湾都市である神奈川県・横浜市出身の店主。

しかも開発が日常的に行われ、海より離れた新興住宅地が地元だった為、「何かが創られて行く過程」が幼き頃より染み付いているのでしょう。

「子供達やお客さんがいなくなった夜にこの場所でボ〜としていると、アイデアが浮かんでくる気がするんですよ(笑)」


さすがは、『アソビきれない毎日を!』を目指し、世界をアッと言わせ続けるバンダイ出身!!

そうなんです。
店主が以前いらした会社とは、筆者が幼き頃よりとても身近な存在で世話になり、今なお筆者のB-BOYイズムを構成する『バンダイ(夏の日の1987 バンダイ・ババヤとの思い出)』さんだったのです‥
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(漠然とした配置に『北原商店』の奥深さを感じる)

「うんうん。そうだったんですか〜(笑)。本当に奇遇ですね。お会いできて嬉しいです。」

『バンダイ』との思い出話をニコニコしながら聞いてくれるもんで、京都にいながら郷里の台東区・蔵前での少年時代を思い出し、温かな気分に浸ってしまいました・・・


「平日は自分のクリエイターとしての仕事をしてますから、駄菓子屋を開けるのは土日だけです。週末だけの駄菓子屋ですけど、楽しいし勉強になります。また会いたいですね!京都か東京か、分かりませんけど(笑)」

玄関で靴を履き、「ほな、さいなら~」と帰るスタイルは、やっぱり友達の家クオリティ(笑)

平安京の昔より、クリエーターの質と量は国内で、いや世界でも有数のレベルを誇る京都には、日常・非日常が交差する素敵な駄菓子屋『北原商店』があります!

皆さんも遊びに行かれてはいかがでしょうか?

『北原商店』アクセス
京都府京都市上京区猪熊通下立売上る荒神町440

営業日・土日13:00〜18:00(基本)
※予定変更もありますので、『北原商店Twitter』にてご確認ください