東京都墨田区。

634m、「武蔵の塔」こと東京スカイツリー が聳え立つ、かつての暴れ川・荒川と春のうららの隅田川との間に広がるデルタ(三角州)地帯は、魅惑の芸者タウン向島や、東京駄菓子三大問屋街かつLike a Amerikanaな人種の坩堝・錦糸町、国技館のある両国に、奇談怪談の本所(本所七不思議)などの名所が盛り沢山!

今でも多く残る町工場(駄菓子メーカーも多い)や伝統工芸を愛でる下町気質の旗の下、葛飾北斎・勝海舟・大橋巨泉や「世界の王」こと王貞治氏など、多くの傑物を輩出した事でも知られる人口約26万、歴史と文化に彩られつつもシャレオツに発展続ける都内屈指の下町エリア。
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(隅田川を挟んだ対岸・台東区より撮影。アサヒビール本社がCOOL!)

今回紹介する駄菓子屋は、スカイツリーと両国国技館のちょうど中間辺り、散策するにも歴史探訪するにも楽しいエリア・本所にある「おかしの森 十一屋(じゅういちや)」です!
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(遠くからでも目立つよね。黄色いテントが目印だぞ!!)
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(スナック類・カードゲーム・菓子・パン・・楽しそうだ・・

筆者が訪れたのは、ある夏の日の昼下がりの事。

パパ(子供の頃からの常連)に買ってもらった駄菓子を大切そうに抱えながら出てくる女の子、お湯を入れたばかりのラーメンを「待ちきれねえよ~」と言いながら今にも食べだしそうな野球少年の一団、一服つきに飲料+駄菓子を購入しに来た工事現場の方など。

地元の老若男女から愛され続けている印!
「十一屋」からは、年齢層バラバラなお客さんが入れ代わり立ち代わり出てきては、楽しそうに各々の居場所へと戻っていきました。
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(大人気のハンドスピナーも充実のラインナップ!!!)
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(子供達の手に届きやすそうな位置に駄菓子が陳列。素晴らしい~)

明るくPOPな店内。
駄菓子の価格や楽しい説明、そして人気ランキングなどが分かりやすく貼られており、店内を歩いているだけで、自然とニヤニヤしちゃいます。

ただでさえ、駄菓子屋に不釣り合いなオサーンひとり、ニヤニヤしてたら怪しすぎだろう・・・と自分でも訝しみましたが、そんな筆者にも優しく声をかけてくれたのが、「十一屋」3代目のおじちゃん。

「夏場はチョコが無くなるからねぇ。これでも少ない方なんだよ、冬場はもっと多い(笑)。まあ、ゆっくり見ていって。」
筆者が駄菓子・駄玩具の量に驚いている姿を見て優しい笑みを浮かべながら、そう言ってくれました。

忝いっす!!
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(店内には会津地方の教育訓「什の教え」が!!も、もしや?」

「ならぬことはならぬものです!」

NHKの大河ドラマ「八重の桜」で改めて脚光を浴びた会津藩(福島県)で代々伝わる「什(じゅう)の教え」が店内の目立つところに貼られています。

什と十一・・・
も・もしや???
十一屋の名の由来は、その教えの延長線上にある!って事ですか~????

「ははは。そこまで深読みしてきた人は初めてですよ(笑)。これは娘からもらったもので、気に入ったから貼っているんですよ。名の由来は、先々代が11歳の時に奉公する為に上京した事に由来していますね。」

元々は先々代が興した飴屋を営んでおられた「十一屋」。
その創業は、100年近くの歴史を有しているそうです。スゴイですね・・・・
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(本所の子供達は代々、十一屋の教えを受けて道徳心を育む)

「昭和時代に子供だったの子達が、自分達の子供を連れて来てくれる時代になりましたね。そういう子達の多くが『挨拶は?』とか『ありがとうは?』って子供に聞いててね(笑)。うちに来る内に、自然と身についてくれたんだろうかな?と思うと妙に嬉しくなりますよ。」

親子2代で常連さんだと言う、父⇔息子コンビを見送った後におじちゃんは、「儲からないけどねぇ~(笑)。子供達やみんなから元気を貰っているから、来年?再来年?(笑)。体が続く内は続けていきたいです!」と今日一の笑顔で話してくれました。

スカイツリーの御膝元・東京の下町には、「什の教え」ならぬ「十一屋の教え」が根づく素敵なお店があります。

東京観光の際は是非、少し足を延ばして「十一屋」に遊びに行かれてはいかがでしょうか?

「十一屋」アクセス
都営浅草線「本所吾妻橋」駅・都営大江戸線「両国」駅 下車徒歩10分
東京都墨田区本所2-6-8