東京都世田谷区。

23区でNO1の人口(約90万人)とNO2の広大な面積(TOPは大田区)、セレブ感がハンパない下北沢(しもきた)・三軒茶屋(さんちゃ)・二子玉川(にこたま)など愛称をもつ有名なエリアを誇る一方で、畑や農地もありーの、狭い路地ありーの、学生向け風呂無しボロアパート多発地帯ありーの・・・と、実はなんでもありのハードボイルドな街。
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 (今回は人気エリアの一つ「明大前」にある駄菓子屋物語)

その世田谷区の中でも異彩を放つ「明大前」はれっきとした京王電鉄の駅名。
住所は杉並区になる明治大学(甲州街道・首都高速4号新宿線を超えた先にある)の学生街として輝きを放つ一方、趣のある商店街は区内外の人々を魅了し続けています。

今回はその「明大前」駅近く、それも線路沿いにある駄菓子屋「もりかわ」をご紹介します。
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 (線路のすぐ脇。電車の音が聞こえる環境って憧れるなぁ・・)
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 (だがしやと、ひらがなで一枚一枚張られるスタイルもいいね!)

世田谷区特有なのでしょうか?外観がシャレオツ!
そして、一枚一枚丁寧に書かれた「だ・が・し・や」の文字が、来る者みんなを優しく柔らかな気持ちにさせてくれますね。

今から約20年ほど前の創業以来、「もりかわ」店内は「ガタンゴトン+カンカンカン」という電車・踏切の複合メロディーと子供達の楽しそうな声に包まれています。
京王線の車窓からもしっかりと見える(駅が近いためスピードが緩やかになる)駄菓子屋としても有名で、地元はもちろん沿線の子供達からも愛されています。
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 (中央に駄菓子ブースが置かれ、選びやすい配置になっている)
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 (丁寧な仕事ですね!価格表示がキレイで見やすいYO)

筆者が訪れた日、色々と教えてくれたのは、今年(2015年現在)88歳、今でも現役で店に立ち続ける元気な初代おばちゃんの娘さん(以下 2代目おばちゃんと書かせてもらいます)。そう、「もりかわ」は母娘の2人交代体制なのです!

思わず笑ってしまいましたが、「母は子供達にも優しく、言うなれば飴。私は口うるさいから鞭ね。飴と鞭の2人体制!(笑)」と言う2代目おばちゃん。

筆者と話している最中も数グループが店に入ってきては楽しそうに談笑+駄菓子を選ぶその姿に、飴も鞭も共に必要不可欠で、愛されているのだなぁと感じました。
「小さい子供はうちで買い物の仕方を覚えていってくれる。大人になって自分の子供を連れて来て、そう話してくれる親子もいるよ。」と顔を崩し嬉しそうに鞭役(笑)は話してくれました。

良きかな。良きかな。素晴らしいですね!
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(駄玩具も選びやすいし、豊富だよ。コマいいよね!)

駄菓子・駄玩具も豊富で、シャレオツで、温かな良い雰囲気で、絶対にまた来たくなる「もりかわ」。

しかし、2代目おばちゃんの口から出た衝撃の事実に、一瞬耳を疑い、寂しい気持ちでいっぱいになってしましました・・・・・・

都・区・京王電鉄が2022年度を目途に、渋滞緩和と再開発のプロジェクトを進行中。
京王線笹塚駅~仙川駅までを高架化し、明大前周辺も大規模に様変わりを予定(幹線道路を新設)との事。

周辺一帯の工事が始まる今年(2015年)7月。
それに伴い、多くの子供達に思い出という貴重な財産を残してきた「もりかわ」も、駄菓子屋としての役目を終えるとの事です・・・・
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 (店の奥から撮影。電車がよく見えるんだよね。)
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 (壁に飾られた絵・ポスターも良い思い出!)

明大前のみならず、交通量の割に踏切数が多く慢性的な渋滞に悩まされている世田谷区民にとって、沿線の高架化と新道路の開通は確かに望ましい代物。

「7月までは営業してるし、またそばに来たら寄ってください」と笑う2代目おばちゃんの凛とした姿、「もりかわ」が放つ優しい雰囲気、無くなってしまう前に訪問できた奇跡には感謝しています。

しかし、世の流れとは言え、子供達(かつて通った子供達含む)の心にシッカリと記憶され続けるとは言え、「もりかわ」の様な駄菓子屋が無くなってしまうのは寂しい限りですね。
仕方のない事と分かっているのですが・・・


花は桜。店は駄菓子屋。

子供の頃に通った人はお礼がてら早急に、そうじゃない人も素敵な母娘のいる明大前の駄菓子屋「もりかわ」に行って思い出を刻み付けてみてはいかがでしょう?


「もりかわ」アクセス
京王線・京王井の頭線「明大前」駅 徒歩3分
東京都世田谷区松原2-31-12